テスラの情報
富士スバルラインの料金所から五合目駐車場までの電力消費と回生率についての考察
2022.08.09
※モデル3オーナー・大澤さんがFacebookグループへ投稿された【富士スバルラインの料金所から五合目駐車場までの電力消費と回生率】の内容が大変有益な情報であると考え、編集チームから依頼し本記事のために改めて寄稿いただきました。[Editor: ITO]
7月29日に、午前3時に起きて富士スバルラインで五合目まで登ってきました。
Tesla Model 3 LRで車両重量1850kg、2人乗って、荷物もろもろで2000kg = 2トンです。
TeslaFiのログの通り、料金所から五合目 まで行くのに、9.5kWh(14%)を使いました。
TeslaFiによる富士スバルライン料金所から五合目までのデータ
この電池からのエネルギー9.5kWhは、全て失われたわけではなく、標高の増加分がほぼ1200mですので、一部は位置エネルギーになって貯えられます。
高校物理でやったハズの位置エネルギー公式、E = mgh を覚えていますか?
ここで、
m 質量、2000kg (Model 3LR車両重量+乗員、荷物など含む)
g 重力加速度 9.8 m/s^2
h 標高差 1200m(五合目:2300m、料金所:1100m)
これらを代入して、
E = mgh = 23520000 J (ジュール)
3600J = 1Whなので、
E = 23520000 / 3600 = 6533Wh となり、
2トンのTesla Model 3を五合目の標高にまで持ち上げるためだけに、約6.5kWh使います。
(Model X, Sの場合は、それぞれ約 2500kg、2200kgで置き換えてください。)
9.5kWhの内の6.5kWh、つまり2/3は位置エネルギーとして保存されているわけですね。エンジン車は下りで位置エネルギーをブレーキの摩擦やエンジンブレーキの排熱にして捨ててしまいますが、TeslaなどのEVはその一部を回生ブレーキにより発電して回収します。
目安として、2トンの車で大体180m標高が高い所に行く毎に、位置エネルギーの分、1kWhが余分に必要です。登り坂で見かけの電費が悪くなり、逆に下り坂で良くなるのは、このためです。
登坂中のオレンジと下山中の緑の対比がおもしろい
帰りは回生ブレーキにより2.7〜3.25kWh位(下記の山崎さんのデータも合わせて)が戻ってきます。6.5kWhの位置エネ
ルギーの内、40〜50%を回収できるということでしょうか。まあまあの回生率ですね。
まとめると、これから行かれる方は、五合目まで行き着けないと悲しいので、多少余裕をもって、スバルライン料金所での電池残量がModel 3 LRについては最低でも12kWh(17%)程度はあった方がよいでしょう。下りで、3kWh程度は戻ってきます。
テスラユーザーの先輩方のご尽力もあり、7月中旬から8月一杯は、一般のマイカーは乗り入れが規制されていますが、EVは規制対象外で駐車場はガラ空きです。機会があれば、ぜひ日の出と絶景を楽しんでください。午前3~4時は、道路に照明も無く暗いのでお気をつけて。
樹海台駐車場にて
富士山五合目からのご来光
ご参考までに、下のリンク先の山崎潤一郎さんも同様のテスト結果を報告されています。
→ https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2207/31/news073_4.html
登る時の消費電力量 9.5kWhは私のデータとピッタリ同じ。
下りの回生電力量は、-3.25kWhで少し多めです。私は何度も途中で止まって撮影したり、坂道での減速が急だったからかもしれません。
山崎さんの場合、位置エネルギーの回生率は、3.25/6.5で、ちょうど50%になります。
五合目からの他の景色などは、コチラのリンクでどうぞ。
→ https://www.facebook.com/100001457316018/posts/5480459595345897/?d=n
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